失恋の傷には媚薬を
私が幸せになろうとすると
必ず姉が邪魔をしてくる
なんで?
なんなの?
そんなイライラしながら
電車を乗り継ぎながら
これから暮らす街へとたどり着いた
亮平さんと暮らすマンションまで
タクシーに乗ろうとタクシー乗り場へ向かう途中
楓、という声に振り返った
そこには
スーツ姿で人混みをかき分けながら
向かってくる亮平さんの姿があった
今までのイライラが一気に吹っ飛ぶ
亮平さん、と亮平さんの胸の中へ収まった
『会いたかった…』
「俺も。…おかえり」
『…うん、ただいま』
こんな幸せ、もう手放したくない
もう大丈夫だ
亮平さんの体温が私を安心させてくれる