Marriage Knot

ちょうど運ばれてきたカンパリソーダとウイスキー、チェイサーが、テーブルの上に静かに置かれた。ウイスキーは、とても芳醇な香りがした。副社長は、これはジャックダニエルですよ、と教えてくれた。

「カンパリソーダ、おいしそうです」

「それはよかった。実は、あなたが見ていたひまわりの色に合わせました」

副社長はそんな粋なはからいをさらっと嫌味なく言うと、グラスを持ち上げた。

「では、我々のクロシェレッスンの始まりに、乾杯」

目の高さで、アイコンタクトの乾杯。ここはビルの7階、眼下に広がる都内の夜景は、私の知らないセレブリティたちの夜も重なり、静かに更けていった。

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