【短編】甘えないで、千晶くん!
神様って、多分いない。
いるとしたら、悪魔か何か。
じゃなかったらこんな最低最悪の偶然有り得ないでしょ。
「行こ、佐藤くんっ」
口に手を当ててお上品に笑う千晶くんに腹が立って、踵を返す。
千晶くんのばか。ばか。ばか!
なんでそんないつも通りに話しかけてくるの。
昨日あんなに無視したくせに、意味わかんない。
私はこんなに千晶くんのことで悩んで寝坊したっていうのに、千晶くんは相変わらずのキラキラ笑顔で映画鑑賞ですか。いいご身分ですこと!
しかも田中先輩なんて連れて歩いちゃって、さぞ鼻が高いでしょうね。
好みの子にも告白されたことあるって言ってたけど、まさかそれが田中先輩ってわけ?
無理だよ、千晶くんなんか甘えたさんでお子様すぎて全然釣り合ってないもん。
………なんて。
そんなこと、嘘でも言えないくらい絵になってた。