【短編】甘えないで、千晶くん!
千晶くん、紗和"も"デート?、って聞いてきた。
ということは、本当に田中先輩とは友達じゃないんだね?
デートする仲って、ことだよね。
「また会ったね、紗和」
「っ、うわぁ!?」」
佐藤くんと一足先に館内に入り、座席について一息ついていたところにまた千晶くんが現れて。
しかも当たり前みたいに私の隣の席に座るから変な声が出た。
「ちょっと、田中先輩と席変わってよ!」
「えぇ、なんで?何か問題ある?」
「そりゃ、問題だらけだって…」
「あー、ごめんね幼なじみちゃん。私映画の席は一番端じゃないと嫌なタイプなの」
「そ、そうでした、か…」
千晶くんの奥から小さくて整いすぎている田中先輩の顔がひょこっと出てきて、これ以上駄々をこねることは許されなくなってしまった私。
佐藤くんと入れ替わってもらおうかなとも思ったけど、さすがにそれは意識してるみたいで不自然だもんね。
仕方なくふくれっ面のまま座席に座り直し、上映を待つ。
こんなことなら、せめてもう1席あけておけばよかったよう。
「噂には聞いてたけど、すごい仲良しだね?」
「ち、ちがっ」
「紗和うるさい。始まるよ」
「幼なじみちゃん、シー、だよ?」