『来年の今日、同じ時間に、この場所で』
2年生初登校の日。

みんなが1番気になるのは
下駄箱に張り出されたクラス分けが書かれた模造紙。


入学したての
あの初々しい匂いを想い出す。


『ふ』の字を探すと同時に
『ま』の字も探していた。



また同じクラスだといいな…。




「富士屋真凛あった!5組だ」



前田、前田…


すぐにベンの苗字を指追いながら探していると、背後から低い声がした。
「また同じクラスかよ」

振り返る先にはベンがいて
また私の好きな笑顔で「光栄だろ?」と、
私の目の前に掌を出してきた。

「それはこっちの台詞です〜。
な、なに?その手はなんか欲しいわけ?」


ニヤついてベンが言う。
「オテ」


…はぁー!

「なんで私がオテなんかっ!」
ベンの手を叩こうとすると、寸前でかわされた


「ちょっとー!もうなにー?!」
朝からほんっとムカつくわー!


ベンは攻撃を寸前でかわした手を
私の頭に優しく置いた。
「俺のことイジメるなよ」


「なっ!なんでそうなるのよ!」

悪戯っ子のように軽く舌を出して
ベンは走り去った。



おのれ〜!

私のことをからかいやがって〜〜!!






でも、良かった。
また1年間楽しく学校生活送れそうだな。









2年生になると、部活も更に忙しくなり
1年生の時よりも時間が経つのを早く感じた


そして
新入生が入ってきたことで
ベンへの告白タイムは更に増えていった。





「真凛先輩!
サッカー部の前田先輩に渡してください。」

バレー部の後輩の亜子ちゃんから渡されたのは、ベンへの手紙だった。



亜子ちゃんも、ベンのこと好きだったんだ…

その時初めて亜子ちゃんの気持ちを知った。

亜子ちゃんは、美人で有名で
入学当初から学校で噂になるくらいだったから、とっくに彼氏はいるんだと思ってたな。


「わかった。渡しておくね。」

そうは言ってみたものの
なんだかモヤモヤした。


亜子ちゃんだったら、
ベンはオッケーしちゃうのかな…。





手紙を渡した日の下校時間。

ベンと亜子ちゃんを見かけた。





…あ、 笑った。




ベンが女の子と話して笑ってる。



初めて見た気がする。




オッケー…
したのかな…







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