ONLY YOU~愛さずにはいられない~(完)
席に戻ると彼は若い女性の三人組に囲まれていた。

「私、コーガのファンだったんです」
「握手してください」
「写真撮ってもいいですか?」

十年前と言え、皆コーガを憶えているんだ。

今の彼も芸能人特有のキラキラオーラが消えていないから…

棒のように突っ立っていた私に伊集院さんが声を掛ける。

「お帰り、間宮」

女性三人は私の方を振り返り、値踏みしたかのような視線を向けた。


不愉快だった。

――――どうせ、皆…私なんてコーガには似合わないと思っている。

「ファンの君達に会えて、とても嬉しいけど…今は一般人だから…ゴメンなさい」

伊集院さんは立ちあがり、彼女たちに真摯に頭を下げた。
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