誠の華−ヒルガオ−




亥ノ刻


一、二番組は月夜の下で羽織を翻しながら巡察に当たっていた。



まだ冬の名残を残す春の夜に、一人の悲鳴が辺り一帯に響き渡った。



先頭を歩く総司と新八さんは目を合わせると弾かれたように走り出す。



少し走ると男が倒れているのが見えた。



慌てて総司が抱き起こすと、男は泡を吹きながら痙攣を起こしていた。



「雪!!」



総司の声に頷くと私は男に手をかざし、眩い光が男を包むと男はゆっくりと目を開けた。



「う、うわぁぁぁぁあぁぁぁあ!!!!」



意識が回復するや否や、男が暴れ出す。



「落ち着いてください。もう大丈夫ですから。何があったのか僕達に教えてください」



総司がゆっくりと丁寧に問うと、男は血の気の失った唇を震えさせながらゆっくりと話した。



「お…女が…突然俺の口に……変な薬を…っ……」


「その女の特徴は覚えてるか?」



男の目線に合わせるようにしゃがみ込んだ永倉が聞く。



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