内実コンブリオ
その日の帰り道でのこと、電車に乗り込んだ。
人が多いな、なんて思うのはいつものことだ。
17時頃、電車は皆、会社や学校帰りの人達で溢れかえっている。
そして、自分もたった今、そのうちの一人。
とうとうドアまで追いやられてしまった。
「おい、クラスのやつで付き合えるのってどのレベルまでー?」
「うわ、お前失礼だろ!」
「俺はー、えつこちゃんとかしおりー、美濃部さんー…」
「ぶはっ、言うのかよっ!!」
ませた学生たちの大きな雑談が耳をつんざく。
そのうちにいる一人の男子学生の声が、若いあの頃の思い出したくもない、あいつの声にそっくりだった。
それはそれは、妙なくらい。
その時に頭をよぎった。
約1ヶ月半前の地獄の様な出来事が。
これが、角野先輩と気まずくなる直前にあったことだ。
電車の中で、最悪な再開をしたから。