気高き国王の過保護な愛執
「もとに戻るだろうか」

「一流の鍛冶師です。装飾も含め、即位前に陛下が愛用していた剣と、一分も違わぬ重量配分にて完成させましょう」

「よかった。あれでは扱いづらかった」


一本目の剣で、ルビオが妙に戦いにくそうにしていたのは、それだったのだ。

剣を持った経験のないフレデリカには、重さや重心の位置が剣技にそれほどまで影響するということ自体、驚きだった。


「しかし卿の剣さばきも見事だったな。現役の近衛たちにも負けぬのではないか」


無邪気にルビオが尊敬の眼差しを向けると、ゲーアハルトの眉が行き所をなくしたように動く。

彼の視線を受け、クラウスがため息をついた。


「ディーター、あなた本当に、頭の中が空っぽなんですね」

「もう少し言葉を選んでくれ」

「見事だなんて、恥を知りなさい。我々が騎士団で見習いをしていた頃、指導官としてこってり絞ってくださった団長が、彼じゃないですか」


ルビオの顔に「!!」という驚愕が現れた。

鬼の指導官を前にしている、という感覚だけがよみがえったのかもしれない。今にも逃げたそうに腰を浮かせ、なにを言っていいのかわからないみたいに口を半開きにしている。

ゲーアハルトが、口元を緩めた。


「手のかかる生徒でした。技術はあるのに、闘争心がまるきりなく、試合形式の稽古では、勝とうとする姿勢すら見せない」

「それは…あの、申し訳ない」

「ようやく、ご自分の手で守りたいと思えるものが、できたのですな」


ルビオはフレデリカをちらっと見て、顔を赤らめる。それから、はっとなにかに気づいた様子で顔を上げた。


「フレデリカを王立書院から呼び寄せたのは、卿か」

「さよう」

「なぜ…」


聞きたいことが多すぎて、どれと言えないのだろう。ルビオが空中をかき回すように手を動かし、最後には、察してくれと手のひらを見せた。
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