気高き国王の過保護な愛執
ついに、誰にでもわかるほどの微笑が、いかめしい顔を覆った。身体をゆっくりと折り、左の膝を床につく。


「私はあなたに忠誠を尽くすため、ここにおります」


弾かれたように立ち上がり、ルビオが「卿…」とうろたえた声を出す。

ゲーアハルトは深々と頭を垂れた。


「計略とはいえ妃殿下に下り、陛下には数々のご無礼、お許しください」


ルビオの戸惑いが伝わってきた。つい先日まで、この大臣をどこまで信じていいかわからずにいたことを、フレデリカも知っている。

だが戸惑っている以上に、ルビオが純粋に喜んでいることも、彼女にはわかった。ひとりひとり、こうして味方が増えていく。

ルビオが手を差し伸べ、ゲーアハルトの肩に置いた。


「これからも、よろしく頼む」


無言の宣誓で、ゲーアハルトがそれに応える。

ふたりの姿はまるで、叙勲の儀式のようだった。


* * *


「なにも解決していませんよ、気を抜かずにね」


翌朝、ルビオの自室で、持ち込んだ食事をとりながら、クラウスが言った。

侍従たち用の食事で、質素な代わりに、気が遠くなるほどの毒見を経ることもないので、温かい。

湯気を立てているスープを、ルビオは感動と共に味わった。


「この手があったのか」

「私といるときは、ずっとこうしていたんですよ」

「ここへ来た当初、急によく食べるようになったって言われてるのを聞いたんだ。本来の食事は、ほとんど残していたんだな」

「残したぶんは、侍従たちが楽しみに食べていたはずです。あなた、恨まれたでしょうね」


そんなこと言われたって…とルビオは何度目かわからない情けなさに襲われた。

焼きたてのパンをちぎって口に運ぶ。食事ができたてなのも嬉しいが、隣で誰かが一緒に食べているということが、さらに嬉しい。
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