気高き国王の過保護な愛執
ドアがノックされ、フレデリカが入ってきた。

ふたりがテーブルで食事をとっているのを見て、目を丸くする。


「居残りさせられている子供みたいね」

「フレデリカ殿、もしかして私に?」

「ええ、お部屋にいらっしゃらなかったので、こちらかと思って」

「それは申し訳なかった。ありがとうございます」


フレデリカがクラウスに、小さな包みを渡した。ルビオの視線に気づき、「塗り薬よ」と説明する。


「以前いただいた薬が、傷にとてもよくてね。追加でお願いしたんです」

「何度でもお持ちします。傷の理由もわかったから、それに合わせて作り直しました。この間差し上げたものより効くはず」


壁際から小さな背もたれのない椅子を持ってきて、フレデリカはクラウスの隣に座った。

クラウスの顔の左半分を隠す、長い巻き毛。その下には首まで続く、やけどの痕がある。部屋の沐浴用の溜め水に、薬が混ぜられていたのだ。

ディーターが不在の隙に、ジャン・ミュイがクラウスに成り代わって好き放題動くため、王妃がやらせたことと思われた。


『おそらく飲み水にも。飲んでいたらさすがの私も死んでいたでしょうね』


軽く肩をすくめてみせるクラウスだが、大けがだったのだ。狙いはディーターであるとすぐに気づき、顔と左半身を焼かれた状態で部屋を飛び出し、危険を知らせるため急使を走らせた。

このときクラウスが頼ったのが、ゲーアハルトだった。彼らはずっと通じ合っていたのだ。

急使は入れ違いでディーターとは会えず、その後クラウスは昏睡状態に陥り、数カ月間は動くこともできなかった。

それを聞いたとき、ルビオは王妃を許すまいと決めた。


「フレデリカ殿、あなたがそこにいるから、私がディーターに睨まれています」

「えっ?」


クラウスと親しげに会話していたフレデリカが、顔を上げた。ルビオはただの冷やかしとわかっていたが、ちょうどいいので自分の隣を指さす。
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