告白の時間
「花園君はどうして、さきちゃんにプロポーズしたの?」

「え?」

「うん、だってね普通好きだとか付き合おうとか、そゆのが先でしょ?それすっ飛ばして結婚って言っても、いまいちリアリティーがないんだよね…さきちゃんもそうだと思うけど?」

それは…あ、これは核心だ…ものすごいど真ん中を射ぬかれてしまった。自分がずっとかくしていたかったものに、ふれられてしまう、あばかれてしまう…

無意識に深く沈め過ぎていて、あることさえも忘れていた″自責の念″…

「うん…いいよ、ムリに答えなくて…陶芸やる?それとも一曲ひいてもらおうかな~さっちゃん、リコーダーかしてくれるかな?」

「…予備があったと思うよ」

そう言って深谷さんが二階に上がって行く。戻って来ると、手にソプラノリコーダーがにぎられていた。

「何かひいてみてよ、好きな曲。落ち着くよ?」

生島さんにすすめられるままに、リコーダーを手にする。

懐かしい…これからはじまったんだよね、自分の音楽人生…
七音をチューニングのつもりで吹いてみる。楽しい…目を閉じると、ある曲が頭に流れはじめていた。

ゆるやかにはじまる音色が、自然の中へと響いていく…自分の音色に癒やされるなんて、想像もしなかった。ちょっと、泣きそうになる…



< 23 / 53 >

この作品をシェア

pagetop