告白の時間
一曲ひき終えると拍手がおこった。小さな拍手が二階からも聞こえてきて、嬉しくなる。

「いいね~感動したよオレ」

「うん…」

「ありがとうございます…」

リコーダーを返す。ナゼかあんなに混乱していた気持ちは消えていた。

「生島さん、オレ分かりました。やっぱりオレは千歳と結婚したいんです」

「うん、いいよね、さきちゃん。オレも結婚するならさきちゃんがいいなぁ」

「…」

深谷さんが黙って生島さんの事を見る。

「いやいや、まぁたとえばの話しね」

あははははと、生島さんが笑って言う。

「千歳と鳴海が、くっつく所は見たくないんです。千歳の相手が鳴海でさえなければ自分はこんなに、あせらなかったと思うんです…」

「ふ~ん?なんで?」

「オレは昔ズルイ手を使って千歳を縛りました。失いたくなかったです…」

「うん…」

「でもいくら縛っても限界ってあるんですよね…」

「そこに鳴海君が登場するわけかな?」

「ええ、鳴海が入る事で絶妙なバランスができたんです…でも…」

「三人グループってさ~はじめ楽しいけど、結局さいごは一人さびしい思いをするんだよね~」

生島さんが、さびしそうな顔をして呟いた。




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