元ヴァイオリン王子の御曹司と同居することになりました
マンションの隣がスーパーマーケットなのはとてもありがたい。
しかも、生鮮品の鮮度もいいし、加工食品や日用雑貨もなかなかの品揃え。惣菜も美味しそう。店員さんの感じもいい。
いいスーパーは生活クオリティを上げてくれる。
ほくほくしながら食材と保存容器を買い込んだ。支払いは、あらかじめ出海君から現金を渡されていたので、それを使った。
出海君の家に戻り、早速キッチンにこもる。
キッチンに立派なまな板と高級包丁があることはチェック済みだったので、ありがたく使わせていただく。
両親が共働きだった我が家。母親は娘に対し、「料理ができる女は、男にも女にもモテるから!」などと吹き込みながら料理を教え、料理当番の一員とした。
まあ、実際にモテたかどうかはさておき、大学時代から今に至るひとり暮らしには大いに役立っている。
「何かお手伝いしましょうか?」
出海君がキッチンにやってきた。
あぁ。こうして誰かと一緒に家にいるというのは懐かしい感覚だなぁ、と思う。
「平気です。好きにやってますので、出海君も好きなことしててください」
「……ふふ。よかった。料理は得意ではないので、手伝ってと言われても足手まといになること確実でした」
出海君はほっとしたように笑った。
私は目をそらし、じゃがいもを袋から取り出してボウルに入れる。
「希奈さんが猫の手も借りたくなったら呼んでください」
「……ありがとうございます」
呼ぶことはないですよ。
2人でキッチンに立ってたら、まるで同棲してるみたいじゃないですか。