元ヴァイオリン王子の御曹司と同居することになりました
ソファに並んで(といっても勿論離れて)座り、番組の導入部分を見る。
出海君がミルクティーを飲んで、
「すごく美味しいです」
と言ってくれた。
……あ。また。
……心に何か引っかかる感覚。
「……それは、よかったです」
下手な返しだなと思うけれど、仕方ない。
その後は、無言。
……だけど、気詰まりではない。
……ほっとした。
黒川ミシェルへのインタビューが終わり、画像がホールへと切り替わると、出海君はミルクティーを上品に飲み干し、カップをテーブルに置き、リモコンで音を調節し始める。
「ご馳走さまでした。音量、上げ下げの希望があったら言ってください」
「はい」とだけ返して、私もカップに残っていたミルクティーを飲み干した。
少し迷ってから、出海君と自分の空のカップをキッチンカウンターに運ぶ。
出海君が焦ったように「あ、すみません」と言ってくれた。
「これくらいお気になさらず」と言いながら席に戻ると、黒川ミシェルがステージ袖から出てきたところだった。
おお、セーフ。