華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
「……不愉快だ」
キッと私を睨み、一言吐くようにそう呟く。
聞こえた言葉の冷たさに、背筋がぞくりと冷たくなった。
やがて王子はそれ以上なにも言わず、その場から立ち去る。
その怒りのオーラは凄まじくて、見張りの騎士も殿下を見つめたまま動くことができずにいた。
一体、なんなんだろう。
王子の意図が分からずに、私はただ戸惑うばかりだった。
結局その日は食事が出ず、仕方なく私は水差しに入っている水を飲んで空腹を凌ぎ、一夜を明かした。
これだけ王子を不快にさせたのだ。
もう来ないだろうと思っていた。
……しかしその翌日も、王子はやってきた。
相変わらずの不機嫌な顔で、鉄格子を挟んで私の目の前に立っている。
正直疲れていた。
だってその日も同じように私に聞くんだもの。
『今日こそは寝られなかっただろう?』
って。