華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
「……嫌よ」

「え?」

「取り消して!今すぐに!私は側妃になんてなりたくない!他の側妃がいる人間なんかと結婚なんてまっぴらごめんよ!!」

掴まれていた手を勢いよく振り払う。

ドレスの裾を持ち、外へと飛び出そうと城の扉へと向かったが、すぐに周りにいる騎士たちに取り囲まれてしまった。

「そこをどいて!なんなら今ここで殺したっていいのよ!」

「待て、ソフィア」

「傍に寄らないで!!」

唇を噛みしめて、精一杯王子を睨む。

王子は一瞬、眉間に皺を寄せて厳しい表情を浮かべたが、すぐにいつもの表情に戻った。


「落ち着け、ソフィア。確かに私にはもうひとり側妃がいる。しかしだ、彼女……、エリスと言うが、彼女はある理由で私の側妃になっているだけ。形だけの側妃だ」


王子はそう言葉を紡ぎながら、じりじりと私との距離を詰めていく。

囲んでいた騎士たちは、王子が近づいてくるのを察して、いつもの定位置へと戻っていった。


「形だけって……」

「それはいずれ話すこととしよう。彼女も悪い人間じゃない。ソフィアが危惧するようなことにはならないはずだ」

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