ひとはだの効能
タクシーから飛び降り、ホテルに入る。豪奢な空間に圧倒されて一瞬立ち止まったが、チャペルを探してそのままロビーを駆け抜けた。
『ちゃんと笑顔でおめでとうって言いたいんだ、私』
『そうして、もう全部終わりにしたい。……前を向きたいの』
今この瞬間、彼女がつらい想いをしていなければ、それでいい。
そして少しだけ、顔を……彼女の笑顔を見ることが出来たら、それで十分なんだ。
そう心の中で繰り返しながら、たむろする人々を避けロビーを走り抜ける。
ようやく目当ての出口を見つけた。弾む息を整えながら大きな扉を開け、再び建物の外に出る。階段を下りて石畳でできた小道を歩いていると、人々の歓声が聞こえてきた。
そして俺は、歩みを止めた。
祝福の鐘が鳴り響くチャペルの下で、澄み切った青空をバックに真っ白なラウンドブーケが弧を描く。
追いかけた視線の先には、ブーケを手に眩しい笑顔を見せる香澄さんと、彼女にそっと寄り添う菅井さんの姿があった。
『ちゃんと笑顔でおめでとうって言いたいんだ、私』
『そうして、もう全部終わりにしたい。……前を向きたいの』
今この瞬間、彼女がつらい想いをしていなければ、それでいい。
そして少しだけ、顔を……彼女の笑顔を見ることが出来たら、それで十分なんだ。
そう心の中で繰り返しながら、たむろする人々を避けロビーを走り抜ける。
ようやく目当ての出口を見つけた。弾む息を整えながら大きな扉を開け、再び建物の外に出る。階段を下りて石畳でできた小道を歩いていると、人々の歓声が聞こえてきた。
そして俺は、歩みを止めた。
祝福の鐘が鳴り響くチャペルの下で、澄み切った青空をバックに真っ白なラウンドブーケが弧を描く。
追いかけた視線の先には、ブーケを手に眩しい笑顔を見せる香澄さんと、彼女にそっと寄り添う菅井さんの姿があった。