ひとはだの効能
「葉月くんは一緒じゃないの?」

 俺の問いに、莉乃ちゃんは口元をほんの少し歪めて首を振った。

「せっかく招待してくださったのにごめんなさい。急にバイトに入って欲しいって言われたらしくて……」

「そっか、それは残念だったね……」

 「はい」と力なく答えると、莉乃ちゃんはしゅんと項垂れた。

「寒いでしょ。中に入ったら?」

 開けたドアから、刺すように冷たい海風が吹き込んでくる。ニットキャップの下からのぞく莉乃ちゃんの耳たぶは真っ赤になっていた。

「でも、今日はアルも一緒だし……」

 あっという間に日は暮れて、外は真っ暗だ。確かに暗い中でアルを待たせるのはかわいそうだな……。

「もう他にお客さんは来ないだろうから、アルも中に入れて構わないよ。そうだ、どうせならクリスマスディナー食べて行ってよ。……俺もクリスマスイブに一人で食事じゃ味気ないし」

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