ひとはだの効能
「……それじゃあ、お言葉に甘えます! おいで、アル」

 少しだけ顔を明るくして、莉乃ちゃんがアルを呼んだ。リュックからウエットタオルを取り出し、丁寧にアルの脚を拭いてやる。

「入っていいよ」

 そう言って手招きすると、アルはしっぽを振りながら俺の方へ駆け寄ってきた。

「ご主人様とごはん食べるから、しばらくここで待っててな」

 顔中を撫でてやると、気持ち良さそうに目を細める。ツリーのそばに使い古しのタオルを敷くと、アルは大人しく横になった。

「アル、すっかり遊馬さんに懐いちゃいましたね」

「うん、こんなに懐いてくれるとやっぱり可愛いよなあ」

 まるであなたたちの会話は聞こえているぞと言わんばかりに、アルは目を閉じて寝そべったまま、しっぽだけをぶんぶんと振ってみせる。莉乃ちゃんと顔を見合わせ、思わず吹き出した。

「すぐ用意するからちょっとだけ待っててね」

「はい!」

 ここに来た時の陰りがすっかり消えた顔で、莉乃ちゃんが微笑んだ。

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