ひとはだの効能
「莉乃ちゃん、お酒飲んでも大丈夫?」

「アルもいるし、ちょっとだけなら」

 メインは食べる直前に調理することにして、前菜や酒のつまみになるようなものを手早く用意して、テーブルにセッティングする。普段店では出さないが、こっそり冷蔵庫で冷やしていた甘口のロゼワインで乾杯をした。

「Pregareに来てよかった。家で一人寂しくクリスマスかぁってへこんでたから」

「あれ、今日ご家族は?」

「父と母は二人で食事に行ってます。クリスマスイブが結婚記念日なんで」

「……へえ。それはまたロマンチックだね」

 ふいに、昼間の光景がよみがえる。香澄さんは今頃二次会の最中だろうか。それとも……。

 頭に浮かんだ彼女ともう一人……の姿を掻き消して、ワインを呷《あお》る。

「そうだ、弟さんは?」

 莉乃ちゃんに話の続きを促して、無理やり自分の思考を軌道修正した。

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