ひとはだの効能
 想いを確かめ合って一緒に過ごしたクリスマス・イブの夜。長く抱き合った後のまどろみの中で、俺は、ずっと疑問に思っていたことを香澄さんに尋ねてみた。


「ねえ、どうして香澄さんは、Pregareで再会した後も、俺が祈ちゃんのことを引きずっているって思ったの?」

 香澄さんがそう思い込んでいたからこそ、その後現れた莉乃ちゃんとのことを香澄さんは勘違いしてしまったのだ。

「今思えば、俺は再会してすぐの頃から香澄さんのこと好きだったし、結構態度に出してたと思うんだけど」

 体力を使い果たして今にも寝入りそうな香澄さんの頭を抱き寄せ、艶やかな髪に唇を寄せる。くすぐったそうに身を捩《よじ》ると、香澄さんは閉じかけていた目蓋をゆっくりと開いた。

「だって……名前、お店の」

「店って『Pregare』?」

「うん。あれって、イタリア語で『祈る』って意味でしょ。それで『ああ、遊馬くんはまだ全然祈ちゃんのこと吹っ切れてないんだな』って思ったの。……すごく、悲しかった」

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