ひとはだの効能
「でも……、私は日曜休みだからいいけど、遊馬くんはお店あるでしょう?」
「俺は加減して飲むから大丈夫。だって、友達の一大事だよ? 香澄さんだって、親友がそんなんだったら、同じようにするでしょ」
「……そっか、そうかもしれない」
「だからさ、俺が何かやらかして落ち込んでるときは、香澄さんから飲みに誘ってよ。たぶん俺から誘う余裕ないから」
「わかった」

 まるで咲きかけだった薔薇の花が、朝露を受けて開ききったみたいだ。俺は、ずっとこの笑顔が見たかったんだな、と思う。泣き顔でもつらそうな顔でもなく、見ているこちらまで清々しい気持ちになる、憂いのない心からの彼女の笑顔。

「うん、おかげで週末まで仕事頑張れそう。楽しみにしてるね」

 改めて連絡を取るためにトークアプリのIDを交換して、これから横浜まで向かうという香澄さんを見送った。
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