ひとはだの効能
 土曜日。いつもより気持ち早めに店を閉め、江ノ電に乗り待ち合わせの鎌倉駅へと急ぐ。

「遊馬くん、こっち!」

 西口の改札を抜けると、すでに香澄さんが待っていた。

「ごめんね、待った?」
「全然! 私も今来たとこ」
「お、香澄さん今日ワンピース!」
「へへ、たまにはね」

 職業柄、普段は動きやすいパンツスーツが多い香澄さんが、今日はワンピースを着ている。

「すっごく似合ってる。可愛いよ」

 こんなことを言ったら照れるかな、と思いきや……

「ワンピースならさ、いつも以上に食べられるのよ。飲み会のときはやっぱこれじゃなきゃね」

 ……香澄さん、色気ねえ。デート気分で一瞬舞い上がったのは俺だけか。
 そう肩を落とした俺の気を知ってか知らずか。

「お店こっちだったっけ? 早く行こうよ。お腹空いた!」

 香澄さんは俺の手を取ると、駅前の通りを歩き出した。
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