ひとはだの効能
 翌日月曜日、午後になって莉乃ちゃんがやって来た。

「そういえば、莉乃ちゃん昨日は来なかったね」

 休日のアルの散歩は莉乃ちゃんの担当らしく、普段はその帰りにここに寄ってくれる。

「ゼミのレポートの提出が今日までで間に合いそうになくて、昨日は弟に変わってもらったんです」
「莉乃ちゃん、弟いるんだ」
「まだ高校生なんですけど、すっごく生意気なんですよ。いっつも葉月と二人して、私のこといじめてくるんです」そう言って、ぷうと頬を膨らます。

「あれ、葉月くんって莉乃ちゃんの弟くんとも知りあいなの?」
「私達、幼なじみなんです。幼稚園から大学までずうっと一緒」

「へえ、それはまた……」

 随分年季が入ってるね、と言いたいのをグッと我慢した。

「そういや昨日、葉月くんが来たんだよ」
「え、葉月が?」

 テーブルにメニューとお冷を置きながらさりげなく様子をうかがうと、莉乃ちゃんは微かに頬を赤く染めた。
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