ひとはだの効能
「……葉月、何か言ってました?」

 そう言って、上目遣いで俺を見る。

「彼コーヒーが好きなんだね。休日によくカフェ巡りしてるって言ってた」
「……ああなんだ、コーヒーの話」

 自分のことを何か言ってなかったかと期待したんだろう。あからさまにがっかりする莉乃ちゃんを見て、つい笑みがこぼれる。

「あとね、莉乃ちゃんのことも訊いてきた。毎日ここに来てるのかって」
「えっ……」

 今度こそわかりやすく、莉乃ちゃんは耳まで真っ赤になる。彼への気持ちがダダ漏れだ。

「莉乃ちゃんがコーヒーを飲めるようになりたいと思ったのは、葉月くんのため?」

 莉乃ちゃんは恥ずかしそうに両手で顔を覆うと、「……はい」と小さな声で返事をした。
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