ひとはだの効能
「……遊馬さん、なんでわかったんですか?」

 開いた指の隙間から、莉乃ちゃんの丸い目がのぞく。

「んー、なんとなく、かな」

 葉月くんがあれだけ好戦的だったのだ。疑いようがないじゃないか。

 二人とも居心地のいい“幼なじみ”という関係を壊せないままここまで来たのだろう。奥手な莉乃ちゃんはともかく葉月くんには、一歩を踏み出すための起爆剤が必要なんじゃないだろうか。

 それを俺が買って出ようと思うのは、お節介が過ぎるだろうか? 

「葉月くんのためにも、早く珈琲克服しなきゃだね」
「はい! ……あの、今日はブレンド、飲んでみます」
「お! 莉乃ちゃんのためにとっておきのヤツ淹れてくるよ」
 
 いや、やはりここは俺が一肌脱いでやることにしよう。

 頬を真っ赤に染め、照れ笑いを浮かべる莉乃ちゃんを見て、俺はそう心に決めた。
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