ひとはだの効能
 一通り話を終えて、二人でコーヒーのおかわりを飲んでいたときだ。

「……遊馬くん、あれってクリスマスツリー?」

 キッチンの片隅に、まだ箱から出していないツリーを置いていた。組み立てようとしたところ立て続けに来店があり、そのままにしていたのだ。

「ああ、そろそろ飾り付けしようと思って出したんだけど、なかなか時間が取れなくて」

 いつお客さんが来るかわからないから、今日店を閉めてからか、明日少し早めに来てやろうと思っていた。

「ねえ、私も一緒に飾り付けやりたいな。……いい?」
「え、今から?」

 俺が訊くと、香澄さんは「うん!」と首を縦に振る。

「時間かかるかもよ。大丈夫?」
「平気」
「……それなら、一緒にやろうか」
「やった!」

 仕事の話をしていた時の、大人っぽい顔つきはどこへやら。香澄さんは、子どものようにキラキラと大きな瞳を輝かせていた。
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