ひとはだの効能
 店の外で待つアルのことがよく見える窓際のテーブル席に莉乃ちゃんを案内し、メニューを手渡す。

「えっと……カフェモカお願いします」
「了解」

 練習の甲斐あって、莉乃ちゃんはだいぶコーヒーに慣れてきた。レシピ通りに苦みの効いたエスプレッソを使い、カフェモカを淹れる。それでもついついクリームを多めにしてしまうのは、……親心みたいなものだ。

「お待たせしました」
「うわぁ!」

 綺麗な四層に分かれたカフェモカを目の前に置くと、莉乃ちゃんは目を輝かせた。

「んん~、美味しい! やっぱり私、遊馬さんが作るカフェモカが一番好き!」
「嬉しいな、ありがとう」

 莉乃ちゃんのこの素直な反応を見るたび、店をやっていて良かったなと思う。

「これおまけ。クリスマスに向けての試作品なんだ。よかったら食べてみて」
「えっ、なんですかこれ?」
「トゥロンっていうスペインのお菓子だよ。アーモンドとかが入ったソフトキャンディっていうか……」
「嬉しい! ありがとうございます!」

 思考錯誤しつつ作ったお菓子を渡すと、莉乃ちゃんはまた無邪気に喜んだ。
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