ひとはだの効能
「なんだか静かですね」

 カフェモカを口に含み、ホッと息を吐きながら莉乃ちゃんが言う。

「……この天気だし、今日は特に冷えるしね」

 店の現状が芳しくないことは、さすがに飲み込んだ。

「今日はこの後、業者さんが来ることになってるし。まあ、ちょうどいいかも……」
「業者さん?」

 学生である莉乃ちゃんにはピンと来ないのだろう。カップを両手で持ったまま首を傾げている。

「ああ、厨房機器を取り扱ってる会社の人なんだけど、今日はそこの開発の人が来てくれて、新メニューの相談に乗ってもらう予定なんだ」
「メニュー新しくするんですか?」
「うん。幾つか新しいの出してみようかと思って」

 やはりマンネリ化していたのだろうか。新メニューと聞いて、莉乃ちゃんは目を輝かせた。
< 79 / 147 >

この作品をシェア

pagetop