Memorys ‐過ぎ去りし時間‐

注目の的

翌日、案の定蓮花から質問攻めをされていた。

 「刹那!生徒会に入ったって本当なの!?」

 「…うん」

 「何で何で!」

 「蓮花、五月蝿い」

 「だって!」
 
 「ちゃんと後で話すってば」

昨日はあれからすぐに帰宅したため、蓮花には何も伝えていなかった。
連絡ぐらい入れておけばよかったと思っても、もう遅い。

思わずため息が零れそうになったが、蓮花の機嫌を損ねるので飲み込んだ。

 「今がいいのにー」

 「駄目。もう騒がないの」

蓮花の声が大きいこともあり、生徒の視線が向けられる。
しかし、注目される理由は他にもあった。

 「あの子が生徒会補佐に選ばれた人?」

 「多分そうだよ」

 「美人じゃん」

 「調子乗んなし」

あちらこちらで言葉が飛び交う。
女子からは痛いほどの視線が突き刺さるのを感じた。

…確実にファンの子達に目を付けられたわね

蓮花はいつもみたいに接してくれて正直嬉しいけど、
このままじゃ蓮花を巻き込むことになるかもしれない…

 「蓮花、いい加減にして」

一緒に居てくれるのは嬉しいけど、巻き込むのは良くないわ。
少し距離を取った方がいい。

声を少し強めに言えば、蓮花は目に見えてしゅんとした。

 「ごめんなさい…」

本当は私が悪いのに…
こんな表情をさせちゃってごめんね蓮花。
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