結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「なによ、珍しく買い物してきたの? もしかして男できた?」

「できてません。ただ……食事会に呼ばれてるだけ」


社長のことを言ったらからかわれることは目に見えている。だから、素っ気なくぼかして答えたのだけど、姉は疑心たっぷりの瞳で私を見てくる。


「食事会ってー? 同窓会じゃなさそうだし、負けがわかってるような合コンなんて行かないだろうし」

「失礼だな」


最初から負け犬にされると少々腹立たしい。たぶんその通りだから余計に。

ムスッとしていると、彼女はピンとなにかをひらめいたらしく人差し指を立てる。


「あ、わかった。あの若社長とデートだ」


ピンポイントで当てられ、一瞬ぽかんとしたあと、私は勢いよく身を引いた。なぜ見抜いた!?


「なっ、なな、なん……っ!?」

「うそ、当たり? マジか~やるじゃない綺代!」


テンション高く私の腿をバシバシ叩いてくる紫乃姉さん……もしやカマをかけたか。

あっさり引っかかってしまった自分が恨めしくうなだれる私に、さっさと夕飯の支度を終えた彼女は、案の定根掘り歯掘り聞いてくる。

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