結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
結局洗いざらい吐かせられ、紫乃ねえはまるで私の話をおかずにするかのように、聞きながらとても楽しそうにご飯を食べていた。

食事を終えると、彼女は「綺代にもやっと見せるときが来たか」と言っておもむろに席を立つ。

首をかしげて彼女を目で追うと、リビングのテーブルに置いてあったスマホを手に取り、今度はそこのソファに腰かけて手招きされた。

なにを見せようとしているのか、ハテナマークを頭に浮かべて彼女の隣に移動した、次の瞬間。


『あっ、あぁっ、ダメぇ……!』


服を乱し、なんとも色っぽい声を上げる女性の姿がスマホの画面に映し出され、私はギョッとして猫のように全身の毛を逆立たせた。


「はっ!? ちょ、ちょっとなにコレ!!」

「女性向けのAV。エロメンっていうイケメンの男優が出てるんだから、いい時代になったわよねぇ」


ニュースでも見ているかのように涼しい顔で淡々と言う姉。

三十路目前にして、やっと今の彼氏に落ち着いているものの、これまでたくさんの恋をしてきた人だから、こういうのも見慣れているのだろう。

だけど、ちょっとエッチな漫画が限界の私には刺激が強すぎる!

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