結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
皆、特に女性メンバーが、興味津々な様子で答えを待っている。社長はほんの少しだけ考えを巡らし、ふっと微笑む。


「ありがたくいただきますよ。相手が好きな女性だったら、ですが」


その答えで、ミーティングルーム中が黄色い声に包まれた。私はひとり、微妙な笑みを浮かべてしまう。

中身は肉食獣の彼のことだ。ありがたくいただくのは、チョコレートじゃなく、その女性の身体なのでは……。

なんて、勝手な想像をしながら目線を手元に落とし、書きかけだった会議の内容をまとめるのだった。


会議は順調に進み、新商品の候補をいくつか絞り込んだ。これらの試作品を作ることが、私たち研究課のこれからの重要な仕事になる。

終業時間も近づき、会議が終了すると、皆は各々のペースで席を立ち、挨拶をし合ってミーティングルームを出ていく。

私もそれに倣い、資料をまとめて席を立とうとしたとき……。


「倉橋さん、少しいいですか?」


いつの間にかこちらに近づいてきていたらしく、すぐそばで社長の声がして、ドキンと胸が波打った。

え、なに!?

腰を上げるのをやめておずおずと見上げれば、腹黒さなど微塵も感じさせない美しい笑みを湛える彼がいる。

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