結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
すると、理性が地に足をついて踏ん張ってくれて、次第に揺れが治まってきた。

……大丈夫だ。きっと相手があの人なら、理性を崩されることはないはず。


「問題ありません。相対性理論もちゃんと語れます」


自信を持ってしっかり答えると、社長はぷっと吹き出して、身体を離しながら「上等だ」と言った。

再び椅子に腰を下ろした彼は、軽くなった声色で補足する。


「まぁ、これは最悪のパターンだ。俺も一緒についているつもりだから」

「はい。よろしくお願いします」

「もしプライベートなことを聞かれても、必要最低限なこと以外は話すなよ。誘われても絶対に断ること」


そんなによくよく注意しなくても、と思いつつとりあえず頷いていると、「ん」と立てた小指を差し出された。

こ、これってもしや……。


「指切り、ですか? 私、子供じゃありませんが」


呆れたような笑いをこぼす私を、社長は意地悪っぽく目を細めて見据える。


「まだまだ子供みたいなモンだろ。ついこの間、初めてキスしたばっかりで」

「ちょっ……!」


ちょっと、ぶり返さないでくださいよ、こっちは必死に思い出さないようにしてるのに! ていうか、なんであれが初キスだって確信してるんですか!

< 145 / 276 >

この作品をシェア

pagetop