結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「どうしてそんなに、私と葛城さんを会わせたくないんですか?」


私が誰とどうなろうと、社長にはなんら関係ないというのに。

社長をじっと見つめて待っていると、数秒間考えるように目線をさ迷わせた彼から、こんな答えが返ってきた。


「……俺の本能がそうしろって命令してるから、かな」


出た、本能!

目を丸くする私に、意味深な笑みを浮かべてみせた彼は、「じゃあな」と短く告げてドアを開けた。


「意味がわからない……」


パタンと閉まるドアを見つめたまま、脱力して呟いた。

結局どうしてなのか明確な理由は教えてもらえなかった。都合のいい言葉ね、本能って。

よくわからないけど、なんとなく葛城さんは手が早そうだから、交際経験がない私のことを思ってただ世話を焼いてくれているだけなのかも。……うん、そういうことにしておこうか。

もやもやしたものを感じながらも自己完結し、ひとまず仕事をしなければと、私も荷物を持って研究課に戻った。


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