結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。

七月最初の水曜日、今日は約束通り、葛城さんが来訪する日だ。

案内役の私は、普段の仕事をメンバーにお願いし、工場の入り口付近で社長と葛城さんが来るのを待っている。

蒸し暑い中、白衣を着たまま手持ち無沙汰で本社と工場を繋いでいる廊下を眺めていると、ほどなくしてふたりが現れた。

社長より少し背が低い葛城さんは、今日は私服姿だ。丈が長いデザインTシャツに、黒のワイドパンツを合わせた緩いスタイルは、アンニュイな彼によく似合っている。

私を見つけると、葛城さんはにっこり笑って手を振ってくれる。

この仕草と私服のおかげで大学生くらいに見えるな……なんて思いながら、近づいてきた彼に私も笑顔で会釈した。


「葛城さん、お久しぶりです」

「どうも。あれからずっとお会いしたかったんです、倉橋さんに」


可愛らしいのに、なぜか小悪魔のように見える笑顔でストレートなセリフを放たれ、ドキリとした。

こんな美青年に“お会いしたかった”だなんて言われたら、無条件でときめいてしまう。

しかし、隣に立つ社長を見やると自然と気が引き締まる。彼も穏やかに微笑んでいるけれど、心の中では“なに調子いいこと言ってんだ”とか思っているかもしれない。

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