結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「今日、いちじくのドライフルーツとペーストを持ってきたんです! 楽しみだなぁ、研究」


咲子ちゃんは、ドライいちじくの写真がついた袋と、オレンジがかった茶色のペーストが入った小瓶をバッグの中から取り出し、わくわくした様子で私に見せる。

これはもちろん、媚薬チョコレートの研究に使うもの。やっぱりいちじくが一番いいのでは、と話がまとまり、咲子ちゃんが気を利かせて調達してきてくれたのだ。

社長に、『媚薬なんて必要ない』と言われて以来、私の中で迷いが生まれてしまい、研究への熱が若干冷めつつある。

しかし、ふたりはやる気満々で、休憩中もだいたいこの件について話し合っている。おかげで、恋愛相談するのもためらってしまうという……。

まぁ、自分の恋愛に使うかどうかは別として、単純に媚薬チョコレートの効果については気になるし、ふたりの意欲を無駄にさせたくないから研究は進めてみよう。

私は小瓶を受け取り、観察しながら咲子ちゃんに笑いかける。


「ありがとね、さっこちゃん。このペーストで作ったら普通に美味しそう」

「ね~。種のプチプチ感が吉と出るか凶と出るか、って感じですけど」

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