結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
いつも通り、色気のない会話をして本社のエントランスをくぐり、いつも通りに仕事を始める。

そうして今日も平穏に過ごしていると、昼前に生産課から電話がかかってきた。

その内容は、私が担当している発売前の新商品のラインテストが終わったというもの。同じチームメンバーの咲子ちゃんと一緒に、すぐに工場に向かった。

キャラメルのクリームが中に入っているチョコレートを試食する私たちに、生産課の係長が確認する。


「どうかな?」

「うーん、中のクリームが若干堅いかなと……」

「試作したときはもっとなめらかでしたよね」


想定していた仕上がりと若干異なっていて、私たちは難しい顔をする。

研究室では上手く作れていたものが、製造ラインではそうもいかないというのはよくあることだ。改善点を洗い出し、もう一度練り直さなければ。


「課長にも相談して、ちょっとレシピを変更してみます」

「了解。ラインの都合上、明日の朝イチでもう一度テストをやれると助かるんだけど、できそう?」


少し心配そうに問われ、私は思案する。

明日の朝イチということは、今日中にレシピを修正しなければいけない。別件の仕事もあるから正直厳しいけれど、ぬるいことは言っていられない。

今日は残業決定だなと腹を括り、「なんとかやってみます」と返した。


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