結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
研究課に戻ってから、私はお昼休憩もそこそこに、チームメンバーと原材料や配合の見直しを始めた。
総合して何十回目にもなる試作を行い、これでどうだ!と納得いく仕上がりのものができたときには、すでに終業時間の五時を一時間以上過ぎていた。
「あー、やっとできた~!」
「皆、お疲れ様」
研究室で達成感と解放感に満ちた声を上げるメンバーに、課長が労いの笑みを向けた。
私も大きく伸びをして、試食の後片づけをしながら、チームではないにもかかわらず手伝ってくれていた氷室くんに声をかける。
「氷室くんまで付き合わせちゃって、本当にごめんね。でも助かった、ありがとう!」
「いえ。なんとか間に合ってよかったですね」
常にポーカーフェイスの彼も、今はわずかに口角を上げている。眼鏡がよく似合うクールな美顔に生まれた笑みを見たら、少し疲れが飛んでいくような気がした。
そして、今夜は友達との食事の約束があるというのに、嫌な顔をせず取り組んでくれた咲子ちゃんにもお礼を言う。
「さっこちゃんもありがと! あとは私がやっておくから」
修正したレシピをまとめるのはたいした作業ではないし、残っている自分の仕事まで手伝わせる気はもちろんない。