結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
私のせいで、社長が目指している事業を中断させてしまいたくはない。もしもそうなったら、きっと後悔するだろう。

暑い日差しを受ける、カラフルな遊具をぼんやりと眺めながら本音を漏らすと、氷室くんがなにげなく言う。


「倉橋さん、社長のことが好きなんですね」

「うん…………んっ!?」


普通に認めてしまったことに数秒後に気がつき、一気に顔が熱くなった。

うわぁ、今日は葛城さんのこと以外は留めておくつもりだったのに! ていうか、なぜ見抜かれた!?

咲子ちゃんはキラキラと目を輝かせ、お弁当もそっちのけで、あたふたする私の腕を掴む。


「やっぱりそうだったんだ! 言ってくださいよ、水臭いじゃないですか~」


この言い方からすると、咲子ちゃんも見当がついていたみたいだ。食事をしたとき以来、社長の話はしなかったのになぜ……。


「な、な、なんでわかったの?」

「綺代さん、最近さらに綺麗になったから、恋してるのかな?とうっすら思ってました。そうだとすれば、考えられる人って社長くらいしかいないので」


ニンマリする咲子ちゃんの意見を聞き、恥ずかしさが増す私は火照る頬を両手で覆った。

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