結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
氷室くんも恋をしているらしい。私に。


「……えぇぇ~~っ!?」


意味を理解し、ふたりして驚愕の雄叫びを上げた。私は風邪と驚きすぎたせいでごほごほと咳込み、木で羽を休めていた鳥もバサバサと飛び立っていく。

嘘……冗談じゃなく? 彼のシステムエラーは恋のせい!?

口を片手で覆ったまま、無意識に咲子ちゃんと身を寄せ合って固まる。

電撃的な告白を、この短期間に二回もされてしまうとは! 私にもモテ期というものがあったのか……。


「つい最近気づいたんです。いくら理論的に考えても説明できない感情があって、それこそ恋なんじゃないかと」


氷室くんは足を組んで缶コーヒーを開け、涼しげな顔のままそう言った。

社長への想いを自覚したときの私と、どうやら同じことを思ったらしい彼は、遠い目をして前方の遊具を見つめて続ける。


「きっかけがなんだったのか、はっきりとはわかりません。が、相手のためになにかをしてあげたいとか、自分より相手のことを優先する自己犠牲の精神を持ったときには、もうその人を好きだと言っていいんじゃないでしょうか」


その言葉のひとつひとつは、彼だけでなく自分にも当てはまっているような気がして、ストンと胸に落ちていった。

< 196 / 276 >

この作品をシェア

pagetop