結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
頼んだ料理が次々と運ばれてきた頃、ふいに向かいに座る氷室くんがこんなことを言う。


「それにしても、プライベートの社長って実は性格違ったりします?」


新鮮なお造りに箸を伸ばした私は、そのままぴたりと止まる。

紳士的で穏やかな態度は会社や人前では徹底しているはずなのに、氷室くんはなぜ気づいたのだろうか。


「なんで?」

「倉橋さんと葛城さんが会ってるってこと教えたとき、すごい迫力だったんですよ。どこかの組の人なんじゃないかって疑うくらい」

「くっ」


派手めのスーツを着て、背中に入れ墨でも入っていそうなガラの悪い達樹さんを想像し、吹き出しそうになった。

しかし、氷室くんは「拷問されてるような気分でした」と真顔で言うから、どれだけすごい追及だったのかと呆れてしまう。

とりあえず、驚いている咲子ちゃんにも、彼がオンとオフを使い分けている理由をざっくりと教えておこう。


「いろいろとやりやすいから外面は良くしてる、みたいなことを前言ってたよ」

「へぇ。じゃああのときは、外面とかどうでもよくなるくらい、倉橋さんのことが心配だったってことですね」

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