結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
対面式のオープンなキッチンからも海が見える。夕日が沈みそうな今、まず夕飯を作ってあげようと思っていた私はそのキッチンに立ち、うっとりしていた。


「海を見ながら料理ができるなんて、最高ですね」

「俺はキッチンに綺代の姿が見られるほうが最高だけどな」


達樹さんは買い物袋の中から取り出した缶ビールを冷蔵庫にしまいながら、そう言ってゆるりと口角を上げた。

なにげなくキュンとすることを言ってくれるものだから、顔に締まりがなくなってしまう。

……どうしよう、幸せすぎて溶けそうだ。


惚けながらも、初めて振る舞う手料理を失敗しないよう十分気をつけ、さっそく取りかかった。

料理は実験と似ているから、初挑戦のメニューでもレシピに忠実に作ればそれなりのものが出来上がるけど、今日は家でも度々作るグラタンにした。それにサラダとスープをつければ、バランスもまあまあだろう。

簡単なものしか作れないという達樹さんは、ホワイトソースを作る私を見て「おぉ」と控えめに声を上げ、できあがった料理もひと口食べるたびにいちいち感激してくれた。

一安心するとともに、とても嬉しくなる。彼がこんなに喜んでくれるなら、毎日作ってあげたい。

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