彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
私がロッカーからカバンを取ってくる間にすべて準備を終えていた主任。

ついでにさっき渡したゼリー飲料もすっかり飲み(食べ?)終えていた。



今日の移動は電車らしい。

営業さんって移動も多いし大変なんだなぁと改めて思う。



駅までの道を主任と歩く。

主任と、っていうか私が後ろをついていく感じ。小走りで。

普通に歩いてそのスピードってどうなの?

背の高さがこれだけ違うんだから、足の長さだって違うんだろうけど。

フゥー

その背中に向かって小さくため息。

と、その瞬間主任が振り返って「すみません。早すぎましたか」なんて言ったあと「普段あまり人と一緒に歩かないもので」と少し困ったような顔で続けた。


「いえ、あのすみません」


気づいてくれて嬉しい反面、気を使わせてしまって申し訳なくも思う。
ちゃんとついていかないと。


電車に乗って移動。

最初の場所は二駅先の店舗。今日は近くから遠くにいくルートらしい。

今日の営業先の説明を受けながら、普段主任が一人でまわってる時よりも店舗数が少ないかもしれない。


「今日もレポート提出ですよね?」

「はい。天ヶ瀬さんの意見はたいへん興味深いですから」


大変興味深いって意味が、よくわかりません。
大体、私を連れて行かなければあと二店舗はまわれたはず。


「仕事のレポートなんて書いたことないので、感想文みたいですみません」

「そうですね。私の書いた店舗巡回レポートがあるので今度渡します」

「はい!お願いします」


なーんだ、ちゃんとしたテキストあるんじゃん。
それみてそれっぽく書けば私にもかけるんじゃないの?なんて思ってみたり。


「でも。天ヶ瀬さんの言葉で書いてくださいね」


私の思ってることなんてすっかりお見通しらしい。


「私の書式で書いても面白くもなんともないですから」


ですよね……。
やっぱ、世の中甘くない。
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