彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
巡回は順調に進み三店舗目に向かっている途中。

移動中の電車の中で私は各店舗ごとに気づいた点をメモにまとめていた。

今回はレポート提出を最初から言われてるから色んな点に気をつけてみているつもり。

車内アナウンスに気づいて顔を上げれば目的の駅まであと少しらしい。

少し離れた席に座る主任を見ると、やっぱり難しい顔で携帯の画面を見ている。

また仕事のメールなのかな。

そう考えながら見ていれば、視線に気づいたのか顔を上げた主任と視線が合って。

その視線から目が離せない。



ドキ


ちょ、と。
またドキって。
なんなのよ、最近。


慌てて目を伏せて冷静になるようにつとめて考える。

主任の新たな一面を見たぐらいで意識し始めるとか。
私。どうかしてるんじゃないの?


頭の中で自分に突っ込みを入れている間にいつの間にか主任が目の前に立ってた。


「天ヶ瀬さん、次降りますよ」

「え。あ、はい」


あー。なーんだ。
降りるよって言う事が言いたくてじっと見てたのか。


「朔也が。“天ヶ瀬さんがくるのを”楽しみに待ってるそうです」

「は?私?ですか?」

「さっきメールが来てましたから」




あーなるほど、それであの難しい顔。
それですねちゃってんだ。主任。
なんかちょっと可愛い。


「じゃあ残りも頑張ります!」


そこで駅について電車を降りた。

頭の中はすでにディナーで一杯で。
主任と二人で食べるって事、すっかり欠落していた。

本日のディナーって何かなーなんて思いながら、主任のあとについて次の店舗へと向かった
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