彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
最後の店舗を出た時間は七時前。

定時は六時半だからこのまま直帰でもいい時間。

お腹もすいてきたし、うん。今日私、頑張った。


「それでは今日は仕事はここまでで」

「はい!」


ってことは、あとはご飯でしょう?
頑張ったご褒美が朔也さんのレストランの食事だなんて嬉しすぎる。


「そんなに朔也のご飯楽しみですか?」


主任が私を食いしん坊みたいに言うから、


「はい!朔也さんのレストランですよ?もう、すっごい楽しみです」


だって朔也さんのだよ?(けっこうしつこい私)

この前のランチは絶品だったし、ディナーていえばそれはもう楽しみに決まってる。

私って料理作れないくせに、おいしいものは大好きで。
だからたまに奮発しておいしいもの食べに行くんだけど、さすがに朔也さんのレストランみたいなのは敷居が高くて無理。

お金の問題もあるといえばあるけど、こんな機会もうないだろうし、足らない時は主任、貸してくれるよね?


フッ


あ、なんか鼻で笑われてない?主任に。
すっかり自分の世界に入り込んでいた私は慌てて。


「あ、すみません、楽しみすぎて妄想してしまいました」


最近はだいぶ主任と普通に話せるようになったせいか、うっかり妄想なんて言葉を使ってしまって。
何か恥ずかしくなってカバンの中のものを探すふりをする私に、


「もうすぐですから、あと少し我慢してください」


そう言って主任が微笑んでいた瞬間の貴重な笑顔を、私は見逃してしまっていた。
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