彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
そのあと朔也さんからの差し入れだというワインが届けられたけど、もちろん私はワインなんて飲めないから。


「あ。私、お酒は……」


一瞬不思議そうな顔をした主任だけど、すぐに


「朔也からなので、一応形だけ」


そう言って私の目の前のグラスに注がれた綺麗なゴールドの液体。
とてもいい香りでなんだか飲めそうな気さえしてくる。

お酒がダメってわかったのは大学の時で、それ以来飲んでない。
今は24歳になってこれでも大人になったはずだからもしかしたら……

飲んでみちゃう?


「せっかくですから、ちょっとだけ」


その綺麗な色の飲みものの誘惑に勝てずにちょっとだけ口をつけてみる。
グラスの中からさわやかな香りがしてきてそれを口に含むと甘くて、


「おいしいかも?」

「それはよかったです」


ワイングラスから視線を上げて主任を見れば、



そこには見たこともないような優しい顔で微笑んでる主任?



うわ。何。
しゅ、主任。今、微笑んでる?



目を細めて微笑んでるように見える主任。



うわー
うわー
うわー


なんかすごい。
そんな優しそうな顔、主任もできるんだ……


そんな主任見てたら嬉しい気持ちになってきちゃって、ついこっちもヘラヘラと笑ってしまう。


主任を見つめている私と、その私をニコニコと見ている主任。


旗からみたら見つめ合っている二人みたいな感じ?

知らず知らずのうちに入っていたアルコールに冷静な判断が出来なくなっていて、


その甘い雰囲気の中、現れたのは朔也さん。
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