彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
通されたのは、L字のシート。3人がけの席らしい。
こういう時って、小さい私が狭い方の席いけばいいのよね?
まさか並んで座るなんてこと恋人同士じゃないんだし。


「私、奥行きますね」


振り返って主任に断りを入れてから席に座る。
主任は広い方の席に。

向かい合わせより近い斜め前の席ってなんていうか緊張する。


「お飲み物はお決まりですか?」


あぁそうだ。ここは居酒屋だからとりあえずなんか飲まないといけないんだ。


「私は、ジンジャエールを」

「あ、主任。良かったらどうぞ飲んでください」

「いや、でも」

「私、ちゃんとお家までお送りしますから」


だって朔也さんのところで夕ご飯を食べた時、おいしそうにワイン飲んでた。
飲み慣れてる感じで、きっとお酒好きなんだろうなぁって思ったから。

ここは何度もきてるお店だし、この前の名誉挽回とばかりに少し強気で出てみた。


「では生ビールを」


強気に出た私に、「仕方がないですね」と呟くと店員さんにオーダーする主任。

さっそくメニューを開いて主任に見せて


「定食とか丼とかもあるので…」
「天ヶ瀬さんのお勧めはなんですか?」


私の、お勧め?
私は飲まないからいつもこっそり焼きおにぎりとか頼んでるんだけど。


「私のお気に入りは焼きおにぎりと出し巻き卵で」
「では、それを」

「あ、でもサラダとかもおいしいですよ?あ、それとももっとしっかりしたものとか?」

「飲んだらほとんど食べないので。天ヶ瀬さんの好きなものを頼んでくれたらいいですから」


って。
食べないで飲んだらよくないと思うんですけどね?
男の人ってそういう人多いらしいけど、〆でラーメンとかお茶漬けとか牛丼なんて人もいるらしいけど。


「お昼が遅かったので、何か頼んでくれたものを少しいただきますから」

「わかりました。では適当に頼みますね」


主任と一緒の三度目の食事は居酒屋で。
何故か私がメニューを見てオーダーしてる。
しかも微妙に距離が近い。

なんかまた緊張してきた。
ここに連れてきたのは私なのに。
早く料理がいてくれないと間が持たないってば。
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