彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
このままだと主任、ほんとに何も食べないでビールだけ飲んでそう。
だから、取り皿にサラダを乗せて、そーっと主任の方によせる。


「あの、やっぱりなんか食べてから飲んだほうが……」


いいんだよね?
私は飲まないからわかんないけど、世間の常識ではそうだよね?


「そんなにそっと寄せなくても」


ちょっとため息混じりに主任に言われたから私は慌てて、「あとこれも是非」って言ってだし巻きたまごのお皿を主任の前に置いた。


「では、天ヶ瀬さんのお勧めの出し巻きをいただきます」

「もう。それは、絶対っ間違いなくおいしいですからっ」


このお店で一番おいしいと思う。
力説する私を見て主任がクスって小さく笑う。


笑った?
え?
今のなに?


笑ったんじゃなくて
笑われたんだけど。


そんなことどうでもよくて。

この間見たちょっと口角上がったとかじゃなくて、目を少し細めて明らかに口角を上げて……


ドキ


無駄に心臓がドキってするから。
最近ちょっと不整脈なんじゃないのなんてありえないことを考えてみたりするけど。


最近の私は変だ。
ゲームにログインすればジュンさんのことが気になって。
それなのに今も主任にドキッとしたりして気が多いみたいでなんかイヤ。


すっかり自分の世界に入っていた私を見ながら主任がずっと飲んでたなんて気づかずに。


「ん、おいしいですね」

「え?あ、はい」


おいしいですねって言ったその顔はやっぱり優しい顔で。
一瞬のドキってなったのは気のせいと思えないぐらいドキドキした。
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